Dream of Engineerings

yprestoの非技術ブログ

(潜在)保育士になりました

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資格のみだけど保育士になりました(9月の話)。潜在保育士です。

保育士になった理由

きっかけは、たまたま新宿で本屋さんによったときに、保育士のテキストを見かけたことと、それを手に取ったことをyomeが後押ししてくれたこと。だけど伏線や理由ならいくらでもあった。

  • 子どもが好きで、子どもに関わることをしたい
  • 信憑性が不明な子育てメディアや古い・偏った情報が溢れる中、正しい知識を持つことが大切だと思った
  • 子育てや保育政策などについてTwitterなりで口を挟む機会が多いけど、そこまで言うなら保育士資格ぐらい持っておけよという気持ちになった

当時みてねの開発をしていたのも、子ども・子育てに関わる何かをしたかったという思いが強かった。今初等教育に関わる理由の1つでもある。

思い - 親

自分もyomeも親が離婚していてかつ父親の子育てに疑問を感じていたので、妊娠どころか結婚前から必然的に子育ての話をすることが多かった。

自分の父が、出産のときにスキー場に居て友達に怒られるまで帰ろうともしなかったという話を聞いたり、休みの日に全然一緒に出かけようとしなかったり、あと毎日のように夜中22時以降に家に帰ってきたりしてたのは大きいはず。それから父の仕事は金型の設計・・すなわちエンジニアであったこともまた、エンジニアと子育てが両立可能であることを証明したいという人生命題につながってる。

そういうのを考えたり話したりしてた結果、立ち会い出産するんだとか、子育てするんだとか、そういうことを思うようになっていたんだと思う。

保育士試験に絡む話だと、みてね在職中は愛着理論に強い興味があった時期でもある。子どもたちが自分自身は生きるに値する、世界は信じるに値すると感じ、いろんなことをしてみようとする力を得ていく、基本的信頼感を得るために、親子の関わりが重要だとされている。そこがこじれた人が立ち直るには、何が必要なのかを知りたくて今も積ん読していたりする。

思い - 子

子どもが好きというか、子どもたちが愛おしいという感情があって、上手に説明できない。一種の博愛かもしれないけど、なんというか、この子たち幸せでいてほしいなとか、そんな優しい気持ちにさせてくれる。もともと子どもが好きなんだと思う。

これは大学のプロジェクト団体の同期の子どもに、自分のご飯そっちのけで離乳食をせっせとあげてたときに確信したかもしれない。

今の段階でエンジニアをしてなければ、きっと保育士とか児童福祉系の仕事を目指していただろうとか、女の子に生まれていたら保育の専門学校に行ってたかもしれない(女子校が多い・・)とか、そのレベルでやりたい仕事みたいで、実は葛藤を感じていたりする。

まぁ実際子育て始めると相当ヘトヘトになって、ちょっと落ち着いたかもしれないけどw

学び

勉強したことのうち、とても印象的だったこと。保育は養護と教育からなるとされていて、結果的に教育の話にもつながっている。

自発性と個人差

保育所保育指針(学習指導要領の保育所版、保育士のバイブル)に繰り返し登場する単語に「自発」「主体」と「個人差」がある。

子どもたちは生活や遊び、他の人や自然を通して、世界のことを知っていく。大人が教えるというより、子どもが自分の力で育っていく、その過程に大人の支えや良い環境が必要とされている。目標とする発達の段階こそあるが、決まった内容を決まった時期に順番に「教える」わけではないところに特に、保育士の力が求められていると思っている。

(今日の日本の保育が倉橋惣三の誘導保育を基礎としているところも大きい。これは学びとして大きかった。)

一番印象的なのは、試験に必ず?出る喧嘩の仲裁。例えばおもちゃを奪った子を「叱る」としがちだと思うけど、試験的には、まずは子どもの気持ちを受け止め、誰が良くて誰が悪いと大人が決めず、子どもたち同士の対話を促し解決する手助けをすることで、社会性を育てる、とされてる(共感とかね)。

個人差の方は、指針では発達してほしい目標も書かれているけど、月齢・年齢などは目安で個人差に気をつけるよう念押しされていて、一人ひとりの「発達の状況」「生育歴」に合わせて保育することが求められている。例えば歩き始めも喋り始めも子どもによって大きく違う。

遺伝か環境か、経験主義か系統主義か

発達心理学や教育史で興味深かったのはこの対比。発達のほうは、「遺伝か環境か」は成熟優位説(ハサミを使えるようになるには手先が十分に起用になっている必要がある、など)と学習優位説(アルバート坊やの実験の例)に対応していて、現代では発達はこれらの相互作用で決まるとされているとのこと。

sugoii.florence.or.jp

遺伝の発現に一定以上の環境が必要だとした「環境閾値説」が自分は一番しっくりきている。例えば「学力は遺伝か環境か」という問いはわかりやすいはず。「遺伝の真実」みたいな名前の本や記事が出回っているのであれだと思うけど、遺伝より環境のほうが大きいというのをよく見る(学力は親の年収に比例するという統計もあるはず)。

少し外れる話だけど、一人で何かができる・できないの間に、大人の支援や他の人の真似でできる、というボーダーゾーンがあって、それを発達の最近接領域(Zone of Proximal Development: ZPD)と呼ぶ(ヴィゴツキー)。テキストでは「乳児(〜1歳)の前でお椀でご飯を食べるフリをしてもハテナになるけど、2歳ぐらいになればごっこ遊びができる」という例を挙げている。ZPDにあることはいずれ一人でできるようになる伸びしろなので、ここに積極的に働きかけると良いらしく、自分はなんだかんだ意識している。

教育の方は概論的には、熊本大学の講義資料がとてもわかりやすい。ゆとり教育詰め込み教育か、というのも関係あるけど、生活の中の課題を解決していくような学び方(デューイ:問題解決学習、とか)にするか、相互に関連する構造を持った学問を系統的に教えるか、みたいな話。経験主義と系統主義。

問題解決学習、発見学習、完全習得学習の違い&重要人物語呂合わせ | 保育士試験対策クイズ ~半年独学で一発合格!を応援ブログ~

ブルーナーは2つのバランスを取って、学んでることの本質、ものごとの関連性「構造」を「(子どもが)発見する」発見学習を提唱した、そしてそのプロセスは仮説検証の形をとる、とのことだけど、まだまだこのあたりの詳しいことは勉強できていない。いい例がないんですが、例えば光のスリット実験(縞模様が浮かび上がるアレ)をして「光は波長を持った電磁波なんだよ」って言われたときに、そういえば電波もそうだよなと思ったり、空気中を伝わる振動の波である音も同じように干渉するなぁということを思い出したり(「波の性質」への一般化)するような話だと思ってます。つまり「波」を理解できれば光の挙動を深く理解できる。自分はこれを「背景」「仕組み」の理解と呼んでた。

福祉の開拓者

最も印象的だったのは、糸賀一雄社会福祉の父。この子らに世の光をではなく、「この子らを世の光に」という言葉は一生忘れることはないだろう。重度な知的障害を持った子どもたちのための施設(近江学園)を運営する中で、1952年の年報に保母さんが、発達の見込みがないからただただ終身保護するべきと考えられていた最重度の障害を持つ子たちが、ほんの少しずつだけど発達していくことに、「周りの人の心をとても明るくした」んだと記しているんだそう。

元サイトがぶっ壊れたっぽくてアクセス不能だけど、アーカイブからぜひ。 web.archive.org

↓は上の記事に出てくる落穂寮の貴重?な当時の記録。

落穂寮のあゆみ

他に児童福祉の父・石井亮次の岡山孤児院十二則とか、↓のとか・・、とにかく枚挙にいとまがない。

ちなみに教育史の方では、終生苦労人ながらも教育の実践に徹したペスタロッチの不屈の精神に心を打たれた。 ペスタロッチの教育観と実践

その他

なんだかんだで厚生労働省がネットにアップしているPDF群に重要なことがたくさん書いてあったりした。 例えば授乳・離乳の支援ガイドでは何ヶ月からどういうご飯の上げ方をすればいいみたいな話がしっかり書いてるし、社会的養護の現状について児童養護施設入所児童等調査の結果を見ると、保護されている子どもたちや施設の実情が見えてきたりします(例えば、親元を離れて里親のもとや施設にいる子どもたちのうち、何らかの障害を持ってる子の割合が増えていて3割なんだとか、児童自立支援施設(非行などで行くところ)は5割に近いとか)。

あとWAM NETは児童福祉に関わる制度や施設をわかりやすく紹介してくれていたりする。福祉の制度は、社会保険などを除いて何らかの当事者にならないと知ることは少ないと思うから学べたのは貴重な経験と言えそう。

あとあと、保育の5領域「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」は頭に意識しておくと良いのかもしれない。

最後に、「子どもの権利条約」で子どもは守られるだけでなく意思を尊重するんだという話があることや「子どもの最善の利益」という言葉の重みは特筆したい。

ちなみに勉強したこと

途中から学びというより試験対策化したのがちょっとウッて感じだったけど、主として下記のようなことを勉強しました。

  • 保育士とはなんたるや、保育所とはどういう場所なのか
  • 保育の目的、目標、実際の中身
  • 発達心理学(多分概論)
  • 児童福祉、社会福祉、教育の、法、制度、歴史、人物
  • 福祉については現状も
  • 子どもの保健(体の発達や病気など)
  • 食と栄養学(食育とか栄養素とか。細かくは覚えてなかったけど家庭科でやりましたよ!?)
  • ピアノ弾き歌い
  • おむすびころりん すっとんとん

お子を寝かしつけたあとなるべくとか、Twitterに書く内容すら勉強したことにしたりとか、徹底して勉強に割いた。 テキストは成美堂出版の「いちばんわかりやすい保育士合格テキスト」2016年度版上下巻を使った。ちなみに保育士試験の過去問アプリ(Androidの無料のやつ)がテキストの次にお世話になった。

主に↓の3つの対策サイトにお世話になりましたm(_ _)m

なおエンジニアが保育士の勉強!?って感じはあるけど、ZPDとかエンジニア教育にも通ずるだろうしって感じの理解を最近し始めました。

保活に思うところ

やや政治的な書き方なので苦手な人は飛ばしてください。

日本の託児の始まりは、子守奉公(他の人の子どもの面倒をみる労働をする)に出された小学生女子の就学率を向上させるために子守学校が設置されたり、赤沢鍾美(あつとみ)の新潟静修学校に日本初の託児所が設置された(1890年)ことだそうです。

あるいは世界初の保育所と言われる「性格形成学院」は、産業革命のころの工場経営者であったオーエンが工場に保育園を作ることで、貧困がもとの児童労働からの解放や、親が仕事に目一杯で教育に手が届いていない状態を改善しようとした、という話があったりします(多分1800年ごろの話)。

「福祉制度だから親の勝手では入れない」という論も見ることはあるけど、子どもが良い教育を受けながら、女性が働いて自立し、収入の男女格差ないし貧困を脱するという選択肢を得るために保育が必要であることは、上に書いた話から明確なんだと思うんです。古くからあるこの課題への対応を福祉と言わず、何というのでしょう。

(これには結婚出産で「家庭に入ってくれ」と言われ、離婚後にパートタイムで働き続けた母のことも含まれているなぁと今思った。自分はそういうリスクを見てきた立場に立ちがちだけど、専業主婦を自ら選択してうまくやれてるならおっけーだと思う(まーくん・里田まい夫妻が例に挙げれそう)。)

自分は保活してみて、就活や受験みたい、かつ努力で解決されない、落ちると夫婦どちらか退職しかないという恐怖を感じたのが正直な感想です(ちなみに母親の年金(仮)みたいなこともやってて、1馬力だと生活無理そう)。

ちなみに最近こんな悲しい話もあった・・↓

みんなで議論して、良い状態に向かってほしいなというのが感想です。この国の未来のためにも。 ちなみに自分のマニフェストは↓

  • 4月入園の廃止、通年化(就活みたいになってるのは新卒一括採用と似たシステムがまずいんです多分)
  • 国が率先するように制度を変える(少子高齢化問題や男女格差の問題は地域行政じゃなく国レベルの課題なので)
  • タワマンや大企業への保育所設置or負担を義務化(これはちょっと強制パワーがあるけど、前者特に切実です)
  • 点数制度の見直し(落とすためだけの仕組みなので、例えばタワマンの1Fの保育園に(収入高いので)タワマンの人が誰も入れないみたいなジレンマが発生してるらしい)
  • 公定価格の廃止か引き上げ(人が足りないのはカネの問題がほとんどだと理解してる、財源についてはきっとフローレンス駒崎さんあたりが無償化の経費と比較してくださってた気がする)
  • 他にもあるかもだけど思い出せない

謝辞

今回勉強するにあたって、試験に近いときとかyomeがお子のお世話をたくさん引き受けてくれました(自分はyomeのTOEICのときにあんまり引き受けられてなかったのが後悔)。あと会社も雑なタイミングで休んだりして、とにかく後押ししてくれました。

m(_ _)m

まとめ

うちの赤ちゃんはあっという間に子どもって感じになりました。 f:id:yuya_presto:20181102025721p:plain

追記:yomeに読みにくさと普段の子育てに関することは書かないのというご指摘を頂いたので次回はそれにしようかとw